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08 GWウダウダ [マンウォッチン]


GWに友と飲むこととなった。

メールや携帯でのやりとりはそれこそ、ひっきりなしでやってるんだがやはり、ヒザ付き合わせ
ての飲み会に勝るものは、21世紀となった今でも無いのだ。<#more>

ちなみに私は「ツレ」なる新語が嫌いだ。
友達は友達と呼べばイイ。 友と呼ぶのが恥ずかしいから遠まわしで使用してる、そんなカンジ
がしてならないのだ。 

 

あわてもの at ロッカールーム

バスが無いのだ。
山奥に位置する今の職場に私は、自転車・電車・バスを駆使して1時間強かけて通勤している。
出勤時には10分きざみであるバスなのだが、帰宅時のバスは30分に1本しか無い。
仕事終わってカラータイマーが点滅してる状況で、腹のムシもきゅーきゅー鳴いてる状況で、
一刻も早く自由になりたいってー状況で、・・・30分、ただただバスを待つなんてとてもじゃ
ないがガマンできない。

あわてなきゃならない、MUST! なのだ。

仕事終わってあいさつもそこそこに、かけあしでロッカーロームを目指す。
着替え・洗顔、そしてバス停まで徒歩5分。
・・・を、トータル14分弱 で済まさなければならない。

洗顔時にメガネを胸ポケットにしまい、そのままロッカーに置き忘れて帰宅するなんてなコトは
フタケタくらいしでかしてる。 ふたつあるメガネがふたつともロッカー内でお留守番してるなんて
コトも ・・・しょっちゅうだ。

帰宅しても晩御飯と睡眠くらいなものなんで、メガネはまだイイ。
ダメージはそんなにたいしたモノじゃない。


その日。
明日からGWだとゆー、5月1日。

電車から降りた私は駐輪場に向かい、自分の自転車を探していた。
無意識のうちに利き腕である右手は、ズボンのポケットをまさぐっている。 いるのだが。
とーぜんソコにあるハズの、・・・カギが無い。

チェーンロックされた自分の自転車の前で、ちょっとしたパントマイム。
無言のまま両手で、身体中のポケットとゆーポケットをパンパン叩きまわる。

ロッカーの鍵穴にささったまま置き忘れられちゃったカギの束が、不必要にリアルな映像で頭を
かすめる。 ・・・これも初めてじゃーない。 2度目である。

 

あかずきん at コンビニ

・・・今はカギよりも腹のムシであった。
どーやって自宅に入るのか? やら GW中はどーやって移動すりゃいーんだ? やら グダグ
ダクヨクヨ考えながらも、足はもよりのコンビニを目指していた。

自転車なら1分もかからないその距離の、なんと長いコトか。

さすがにGWだなとつぶやいた。
子連れの客で華やいだコンビニはいつもよりはるかにうるさかったもんだ。

弁当コーナー前に立ち、ドレにしよーか? と悩んでいると、私の視界を 赤いモノ が横切った。

もう春、いや、GWの陽気はもはや夏を思わせるってーのに、真っ赤なフード付きフリースを
まとった少女であった。 フードがうれしいのか、めずらしいのか、店内だとゆーのにまっかな
フードをすっぽりとかぶっている。

あかずきん はたたたと元気良くパンコーナーに向かい、迷わずひとつのパンを手にした。
コッペパンに苺ジャムとクリームをサンドしたものを右手で高々とかかげ、うれしそーに宣言。

「こえー!」

やや遅れて後方より私の視界に入ってきた長身の男性に、エモノをかざしている。

「ん~?」
「こえー!」

若いパパとおぼしきその男性はゆっくりとパンコーナーに近づくと、これまた迷わずにひとつの
袋を手にする。 ナイスチョイス! 私はパパに賛同した。
細長いスティック状のパンが10本ほど入った、その名もまんま、スナックパン。
ほのかに甘く、噛み心地がすばらしく、気がつくと一袋まるまるたいらげてしまう、名作だ。

「こっちにしない?」
「こえ! こえにする!」
「・・・ママの分もあるからさ?」
「こえ!」
「・・・ん~~?」

あかずきんはパンを片手に走り出す。 パンコーナー横にあった買い物カゴをよいしょととり、
その中に「こえ」を入れる。 カゴに入れてしまえば買ってもらえるとゆールールらしい。
勝利を確信したあかずきんは、カゴを片手にパパに近寄ると満面の笑みを浮かべた。

「・・・じゃ、コレはママとパパの分な?」

あかずきんが差し出した買い物カゴに、パパは「名作」を入れ、笑顔を返す。

いやいやいやいや、弁当だ。 早く選んでしまわないと。
背中とお腹がくっついてしまいそーだ。

たたたっ あかずきんの元気な足音に振り返る。
彼女はアイスクリームの入った陳列台にまっしぐらだ。 だが、彼女の背丈では手がかろーじて
台に届くくらいだろう。 右手に買い物カゴをぶらさげたまま、あかずきんは懸命にその手を
伸ばす。 が、どーしても手がかからない。

がしゃんっ

彼女は今勝ち取ったばかりのエモノが入った買い物カゴを無造作に捨て、冷蔵台によじ登る。

「買わないよー?」

カゴを拾い上げたパパは、よじ登ろうと必死になってるあかずきんを両手で抱え、アイスクリーム
でいっぱいになってる棚を見せてあげる。

「みるだけー」

あかずきんはまるで宝石箱を覗き込んでいるかのよーに目を輝かせる。
パパは静かにあかずきんを抱っこしている。

「うあー!」

あかずきんが感嘆の声をあげる。
なんて微笑ましい、・・・いやいや、弁当だってば。

「もういっか?」
「まだー ・・・うあー!」

 

もういい? まだー うあー! を、都合5~6回、背中で聞きながら、私はレジを済ませコン
ビニを後にした。

・・・あかずきんははたして、アイスクリームを買ってもらえたのだろうか?

 

窓から家宅侵入 を果たした私は、コンビニチャーハンのデキに感動していた。
満足げなタメイキとともに紫煙を吐くと、明日のコトに頭をめぐらせる。

出勤・退社時刻以外は原則、出入りすらできぬ規則だ。
明日は幸い、出勤するヒトがいる。 が、ソレではGW初日にいつもどーりの時刻で起床せねば
ならぬ。 ・・・休日に5時30分起き? ありえねえ!

GW中、自転車が使えないってのは車を捨てた私にとって、ニートと化せと言われるに等しい。
そして会社では4日間ささったまんまのカギ。 ニート。 ありえねえ!

そしてGW初日は、友と飲む日なのだ。

・・・よふかししたい欲求をごーいんに黙らせ、私はいつもどーり 22時30分に就寝した。
・・・・・あ・ありえねえ・・・。

 

眠り姫 at バス

休みだとゆーのに通勤するむなしさってば、ハンパなものじゃなかったりした。
いつもと同じ風景といつもとおなじ時間帯。 目的が情けない。

忘れたカギを取りに行くダケ。

電車を降りた私は15分ほど待って、いつものバスに乗る。
22時30分に就寝したとゆーのは、ちょいとウソである。
布団をかぶった、とゆーのが正しい。
ひっさびさの4連休だ。 ナニシテヤロウ、そんな思いがなかなか寝付かせてくれなかったのだ。

バスのシートに腰を降ろした私は、急に睡魔に襲われたのだった。
ソレを止めようとする記憶 が私に味方し、私は睡魔に勝利した。

味方してくれたソレとは昨日。
カギを忘れたことなどミジンも知らぬまま、うれしそーに帰宅してた時の 事件 である。

GWに合わせて我が職場は、なにやらドカドカと設備投資している。
このご時世にミラクルな需要があり、けたたましく忙しく、また儲かっているらしい。
本来なら7連休となるハズであった私のヴァカンスが3日も短縮されたのもこの影響だ。

・・・が、職場の着工にともない、・・・仕事にならないのであった。
19時までと予定されていた業務は急遽、15時までに変更され、私はダッシュでバスに飛び乗
ったのであった。 リリース時間が3時間も早くなったコトで私の浮かれ方にターボがかかり、
・・・カギを忘れたのである。

昼間のバスは通勤時と違い、ガラガラである。
私はシートに座り、明日から始まる4連休に浮かれていた。 のであるが。

なにやら車内がさわがしい?
ご老人が3名、故意に大きめの声で雑談している。

「このコ、よーく眠ってるけど何処でおりるんだろうね?」
「・・・かなり長いこと乗ってますよね?」
「いっぺん起こしてあげたほうがいいんじゃないかな?」

ご老人達の視線の先には、ランドセルを背負った少女がひとり。
パステル調した淡い水色のランドセルには、黄色いカバーが張り付いている。
おそらくは「交通安全」と緑色の文字が書かれているハズ。
小学校一年生、であろう。

爆寝、を絵に描いたような熟睡ぶりだ。
彼らは彼女の乗り越しを心配し、彼女や運転手に聞こえる様、大きめの声で話しているのだ。

「乗り越ししてたらかわいそうだ」
「こんなにちっさいコなのに」
「起こしてあげましょう」

王子のキスではなかったが、優しいご老人たちの声で眠り姫は目を醒ました。
ぽ~~っとしている姫にご老人たちが声をかける。

「おじょうちゃん? どこで降りるつもりなの?」
「・・・ホウジョウ」
「! もう4っつも前だ!」
「乗り越してるよ、かわいそうに」
「おじょうちゃん、運転手さんに降りる停留所を言ってみなさい」

無言のまま姫はバスの前へと歩いていく。
ぴっかぴかのランドセルにかぶされた黄色いカバーにはやはり、交通安全の文字。

「すいません。 ホウジョウで降りたいです」

なんとも優しい運転手は、ウインカーを出してバスを停車したのだった。

「乗り越ししちゃったね。 ・・・バス停にお母さんが居たんじゃない?」
「・・・うん」
「あの女のヒトはそうだったのかー」
「もどってください」
「・・・おじょうちゃん、すまないけどそれは出来ないんだ。
 ・・・そうだ! お母さんは携帯もってる?」
「・・・」

力無く首をふる姫。
車内の乗客たちは事の行方を心配そーに見守っている。
誰ひとりとして、バスの遅れをとがめよーとしない。
運転手は可能な限り優しい声色を選択して、口を開いたのだった。

「このバスはね? 終点まで行くと、スグ、ホウジョウに向って走るんだ。
 全部で ・・・1時間くらい。 
 おじちゃんが一緒に行ってあげるから、このままこのバスに乗っていこう?」

「・・・うん。ありがとう」

姫が座席に座るのを確認してから、バスはゆっくりと走り出した。

 

乗客がひとり、またひとりと下車していく。
カードを読み取り機に当てたり、運賃を運賃箱に入れたりしながら彼らはもれなく、運転手に
ひと声かけていく。

「・・・あのコをよろしくね」

「おまかせください!」

親指を握ったコブシからぐっと立てる運転手。
・・・チクショウ! なんていーヤツなんだあんたら!


・・・眠り姫は熱いハグのあと、やっぱりママからしかられちゃうんだろーか?

 

そんなこんなで、無事カギを保護。
会社帰りの友ふたりと三宮で落ち合い、うーだうだやったのであった。

 

泣くオトコ at 最終電車

そこはかなしーかな、ヘンピな場所 に住んでる私である。
終電と呼ぶにはあまりにも早すぎる、23時7分の特急に乗り、ひとり戦線離脱となる。

ほろ酔いで電車に揺られていると、日頃のウサ、漠然とした不安が身体から大気中へ溶け出して
行くよーだ。 GWとはいえ今日は平日。 人影まばらな車内はまるで、貸切り状態。

ふと。
ひとつ前の駅で乗車してきた乗客の様子がおかしい。

なにやらお経のような、歌のような、微妙に聞き取れぬナニカを口にしている。
ちょうど私の正面にでんっと座ったその乗客は、初老の男性であった。

真っ赤に染まったその顔は、過度の飲酒を物語る。
マルメガネ奥の目は開いているのか、閉じているのか。
眠っているように見えるのだが、ときおり先ほど耳にしたナニカを、思い出したかのよーに口
にする。

酔っ払いをニガテとする私は、車両を変えてしまおうかと思いたった所で、息を飲んだ。

初老の男性は礼服をまとっている。
くしゃくしゃに折りたたんで、胸ポケットに収めてあるネクタイは、・・・黒。
がらっがらの車内にかかわらず、ひざ上に置いてある手荷物はあきらかに葬式帰りのモノである。

じーちゃんの真っ赤にそまったその顔は、なんとも表情が読み取れない。
読み取れないのだが、・・・きっとじーちゃんは泣いているのだ。
大事なヒトと今まさに、ゆめうつつな頭の中で酒をくみかわし、きっと昔一緒に歌ったのであろう
歌? 詩吟? ・・・を今、一緒に歌っているのだ。

涙の一滴も見せないが、きっと大事なヒトとの別れを惜しんで泣いているのだ。

楽しそうで、悲しそうで、私はこみ上げてくるモノを抑えることができなかった。


あわててポケットの携帯をまさぐる。

《 今日はんげー楽しかったぜ! また、飲もうな! 》

おそらくは2次会でバカやってるふたりにそうメールすると、私は自分の駅までじーちゃんを見
守ったのだった。


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